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靴を履くようになってから日本人の足は変化した?

日本は長らく下駄や草履を履く生活をしていました。靴を履くようになってから日本人の足は変化したのでしょうか?

日本人の足は、生活習慣や履物の変化に伴い変化していると考えられます。

外反母趾や内反小趾、扁平足などの形態的変化、立位時の足圧中心点(重心)の位置変化などの機能的変化が見られます。

足の研究で著名な平澤弥一郎先生は、「日本人の重心が年々後退しこのままで行くとまともに立てなくなるだろう」と20年以上前に報告しています。

この写真は、20歳代女性二人の立位時足底接地面の状態をピドスコープでしたものです。

写真左の女性は、測定と左右の五本の指が接地しているのがわかります。写真右の女性では、足趾の接地面が少なく、特に右足の小指が接地していないのがわかります。

極端な例では、足趾5本全てが接地していないこともあります。このような状態は「浮き指」といわれ、性・年齢別に研究結果が報告されていますので、いくつかご紹介します。

  • 1980年から2000年にかけての20年間で、幼児期(年長児)の1趾以上の浮き趾数が約5%から50%以上へと急激に増加した。
  • 学童期(小学校4~6年生、男女)において、浮き趾の認められた対象は全体の約20~25%であり、接地不十分な例を含めると、約65~80%にも及ぶ。
  • 健常成人155名(16~49歳、男女)を対象として足趾接地状況を調査し、両側のいずれかの趾における接地不十分な例は男性で約66%、女性で約76%確認できた。
  • 健常成人95名(23.6±2.7歳、女性のみ)の内、浮き趾群に属したのは約28%であり、不完全な接地も含めると約60%以上になる。

平澤先生の指摘から20数年経過した現在、幸いにも我々は立つことを維持できていますが、浮き指や後方重心は現代人に残存しています。浮き指と運動機能の関連については、姿勢バランスの低下や歩行時の安定性・効率性の低下が挙げられています。高齢者では、足指接地の不良群では正常群と比較して転倒経験者が多いとの報告もあります。

また、浮き指の原因については、生活習慣の変化、幼児期の外遊びの減少、歩行などの身体活動量の低下、不適切な履物の影響などがあげられていますが、未だ明確にはなっていない状況です。

浮き指を改善する方法、浮き指を改善すると立位姿勢や運動機能がどのように変化するのか、現在検討中です。

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